有効打点とは

有効打点とは

プロ野球には、選手の成績を考えるうえで「セイバーメトリクス」とか言う難しい概念があるそうです。

ウィキペディアによると「セイバーメトリクス (SABRmetrics, Sabermetrics) とは、野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法である」とのことです。

参考までに、この一例をあげれば、「打者評価指標の経年変化と移籍の影響」というような論考もあります。

しかし、ここではそういう難しいものには全く興味がないので、そういう専門的研究とは無関係な、わかりやすい言葉で述べてみたいと思います。

蛇足ながら、ここで述べることは「統計学的見地から分析したものではない」ので、セイバーメトリクスという考え方とは全く関係ないことを、あらためて言っておきたいと思います。

さてここで、私が提唱する「有効打点(ゆうこうだてん)」というものについて考えてみたいと思います。 

この有効打点によく似たものに、以前しばらくの期間でしたが「勝利打点」というものがありました。

「勝利打点(しょうりだてん)は、野球試合において勝利チームが最後に勝ち越した時に記録した打点のことです。」

 日本プロ野球では、1981年から開始され「最多勝利打点」が表彰もされていたようですが、1988年に公式記録としても表彰記録としても廃止されています。 

なぜ廃止されたのかと言うと、試合の経過次第では、必ずしもその勝利打点だけがその試合の勝利にとって最も効果的な得点とはいえないケースが多々あり、その評価があまり適切でないと考えられたからだと言われております。 

しかし、その評価があまり適切でないと言えば、「勝利投手」の認定の仕方も、あまり適切とは言えない場合が多々あるでしょう。

勝利投手の制度が現在までも続いているのは、投手に関しては他に勝利投手と認定する適当な方法が見つからないからだと考えられます。

では、有効打点とはどういうものか、具体例を出した方が分かりやすいと思うので、以下に架空の試合経過を作って見ていくことにします。

スクロールできます
123456789
東軍3200011007
西軍0024000006

1) 1回の表に東軍のA選手が3打点をあげた場合
  (先制打)
   → 有効打点は「1」になります。

2) 2回の表に東軍のB選手が2打点をあげた場合
  (追加点)
   → 有効打点は「0」で、無しです。

3) 3回の裏の西軍のP選手が2打点をあげた場合
  (追撃打)
   → 有効打点は「0」で、無しです。

4) 4回の裏の西軍のQ選手が満塁ホームランで4打点をあげた場合
  ( 逆転打 = 同点打 + 勝ち越し打
   → 有効打点は「2」になります。
   ※この逆転打には、同点打になる5点目と勝ち越し打になる6点目が含まれるからです。

5)  6回の表に東軍のC選手が1打点をあげた場合
  (同点打)
   → 有効打点は「1」になります。 

6)  7回の表に東軍のD選手が1打点をあげた場合
  (再逆転打=勝ち越し打)
   → 有効打点は「1」になります。


以上、「有効打点」の基本的な場合について述べてみました。 試合運びを観戦しながらでもわかる、じつに簡単な、小学生でもわかる打点の数え方だと思います。

ちょっと気をつけなければならないのは、4回裏の逆転打の場合に、有効打点が「2」になるということくらいでしょう。

この試合の場合は東軍と西軍合わせて合計点数が13点になりますが、これまでの勝利打点の数え方だと、7回表東軍のD選手に勝利打点「1」がつくだけでした。

「有効打点」の考え方を導入すれば、東軍のACDそれぞれの選手に、 有効打点が「1」づつ付き、西軍のQ選手に有効打点が「2」が付きます。つまり全部で有効打点が「5」つことになります。

合計得点数13点のうち有効打点として5点が記録されるわけですから、 ゲームの実態に応じてそれぞれ、ここぞと言う場面で勝負強さを発揮した選手に、打点が「有効打点」として記録されるので、これまでの勝利打点の制度に比べれば、はるかに実態に即した打点の数え方ではないでしょうか?

もし今後、 いきなり有効打点がプロ野球規則に追加されることは考えられませんから、 まずどこかのマスコミ一社からでも良いので、「有効打点」を掲載して、記事にしてくれたりすれば、我々プロ野球ファンも野球の楽しみも倍増するのではないでしょうか?

~以下、参考までに~

〇有効打点を支える補助数字について
ここからあとは、とても細かい数字になるので、時間のない方は読むのは省略してください。 

ここで「有効打点」の考え方を支える補助数字についても述べておいた方が良いかもしれません。ただし、これはあくまでも補助的なもので、公式記録に残すとかそういうことになると煩雑になり過ぎ、ここまでは公式記録として残すことまでは今のところ必要ないと思われます。

1)有効打点の考え方をもう少し敷衍すると、 例えば、

 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
東軍 3 2 0  
西軍 0 0 2  

1回の表に東軍のA選手が3打点をあげた場合、有効打点は「1」で、2打点目・3打点目には有効打点は付きませんでした。

補助数字というのは、この2打点目3打点目にポイントを与えようというものです。

2打点目に0.8ポイント、3打点目に0.7ポイントを与えます。 

※この補助数字を、便宜上ここでは「有効ポイント」と呼ぶことにします。

つまり 、A 選手は1回の表に、有効打点「1」と有効ポイント「1.5」を獲得することになります。

したがって、2回の表に東軍のB選手が2打点をあげた場合(追加点)は、有効打点は「0」でしたが、有効ポイントとして 「1.1」(0.6ポイント + 0.5ポイント)を 獲得します。

3回の裏の西軍のP選手が2打点をあげた場合(追撃打)、有効打点は「0」でしたが、4点差にする打点には0.6ポイント、3点差にする打点には0.7ポイント、従って P 選手には1.3ポイントが与えられることになります。

2)追加点を加える場合

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
東軍 3 2 5
西軍 0 0

上記のように、3回表にもし東軍が 5点取った場合、6点目には0.4ポイント、7点目には0.3ポイント、8点目には0.2ポイント、9点目には0.1ポイント、10点目にはポイントなし、となります。

3)そしてこれも下記のように、3回までに東軍が10対0とリードしていた場合、 

123456789
東軍325000
西軍002441

3回の裏の西軍のP選手が2打点をあげた場合(追撃打)、有効打点は「0」でしたが、9点差・8点差にしたので、この2打点は0.3ポイント(0.1ポイント + 0.2ポイント))が付きます。

4回の裏の西軍のQ選手が満塁ホームランで4打点をあげた場合、有効打点は「0」ですが、有効ポイントとして 7点差・6点差・5点差・4点差にしたので、「1.8」(0.3+0.4+0.5+0.6)が付きます。 

5回の裏の西軍のR選手が満塁ホームランで4打点をあげた場合、3点差・2点差・1点差にした打点については、有効ポイント「2.4」(0.7+0.8+0.9)が付き、 同点打となった1打点については有効打点「1」が付きます。

すなわち、有効打点がつく場合にはそちらを優先して有効ポイントは付けないということです。

6回の裏の西軍のS選手の逆転打・1打点については有効打点「1」が付きます。

要するに、有効ポイントというのは、勝ってようが負けていようが、点差が9点差以内であげた打点にしか、ポイントがつかないということです。 それはそうでしょう、ポイントの値打ちを測るためにはどこかで打ち切らなければならないので、やむを得ないところです。

※ 勝っている場合の追加点となる場合、有効ポイントに0.9が無く、0.8から始まるのは、 本来は一点差がつく勝ち越し打の場合0.9の有効ポイントではなく有効打点「1」として数えるためです。 またそのほうが(2点差を0.9と数えるより0.8とするほう)がわかりやすいからです

こういう有効ポイントを数えるのは人間ではなく、コンピューターでプログラミングすれば簡単なことなので、ここはコンピューターにお任せするところです。

以上でだいたい有効ポイントの概略は掴めたと思います。 理解するのはちょっと面倒だという方は、もうこれ以上深く追求しないでも今のところ差し支えないです。

ここでは有効打点の他に有効ポイントも記録として数えることができるということだけ覚えておいてもらえれば良いかと思います。

〇有効打点の定義について
一応ここで「有効打点」についても定義する必要があると思われますので、いまは仮に次のように定義しておくことにします。

有効打点とは、野球試合において、勝利チーム・敗戦チームに関わらず先制打・同点打・勝ち越し打を放った時に記録した打点のことです。ただし逆転打 = 同点打 + 勝ち越し打 で2打点以上記録する場合、同点打も含むときは、有効打点2が記録される。」

こういう定義は将来、野球規則に追加される時があれば、その時に修正されれば良いものと思います。

これまで「有効打点」とよく似た言葉に「殊勲打」というものがありましたが、これは人によって使い方がまちまちで、明確に確立された定義はなかったと言ってよいでしょう。 ある意味で、「有効打点」というものによって、新たに「殊勲打」の定義を確立しようとするものであると言ってよいかもしれません。 

さらに、これまでの「殊勲打」という言葉は、敗戦チームとなった場合の安打について言われることはなかったように思います。

それでは、その後の経過によって途中までは「殊勲打」だったものが、負け試合になったことによって「殊勲打」でなくなってしまうというのは、その後の投手の調子によって違ってくるので、あまりにも運の要素が大きく、公平な記録とは言えないでしょう。

現在プロ野球では、打者として打撃三部門の「首位打者・ホームラン王・打点王」が、 最も権威あるものとされていますが、 これらはいずれも直接勝敗と関係のないところで積み上げられる数字です。

しかし、「有効打点」というのは、 最も勝負に関わるところで積み上げられる数字ですので、打者にとって最も名誉ある数字と評価されることになるのではないでしょうか?

もし過去にさかのぼって「有効打点」を数えることができれば、各年代で、どの選手が一番有効打点を稼いだ打者なのか分かるので、楽しみはさらに増えるのではないでしょうか?

また、そもそも日本の野球規則はアメリカのルールブックを基に作成されていると言われており、またその改正もアメリカのルールブックに倣っているそうです。

ですので、日本プロ野球機構が自らその規則をアメリカに先んじて改正することは考えられませんが、将来良い方向に行くことを期待しておきましょう。

〇 今後プロ野球に関しては、
・CS (クライマックスシリーズ)現行の納得できかねる実施方式の改正案について
・ 2022年のシーズンは大谷翔平選手とジャッジ選手のMVP争いが話題になりましたが、二刀流の選手との成績をわかりやすく比較するにはどうしたらよいか?

についても、いづれ考えていきたいと思っています。

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